近年、食の安全性や健康、環境へ配慮することが注目されています。
「オーガニック」「無農薬」「有機栽培」といった言葉を耳にする機会も増えました。
しかし、それぞれの違いを明確に理解している人は少ないかもしれません。
それぞれの定義や違い、農法の特徴を詳しく解説します。
ぜひ、参考にしてみてくださね。
「オーガニック」って何?
「オーガニック(organic)」は英語で、日本語でいうと「有機」という意味です。
元々は化学肥料や合成農薬を使わない農法を指していました。
日本においては、食品表示に関して農林水産省が定める有機JAS制度の基準を満たす農産物や加工食品だけが「オーガニック」または「有機」と表示できることになっています。
有機JAS制度の基準(一例)
- 化学合成された肥料および農薬の使用を避ける。
- 遺伝子組み換え技術を使用しない。
- 土壌づくりに2年以上、有機肥料を使用している。
注意:「オーガニック」とは必ずしも完全な無農薬ではありません。
有機JAS認定では、天然由来の農薬の使用が許されています。
「無農薬野菜」とは?
かつては、農薬を一切使わない農産物を「無農薬野菜」と呼んでいました。
しかし、2000年代初頭から「無農薬」という表記は消費者への誤解を招く可能性があるとされ始め、現在、表示は禁止されています。
その代わりに導入されたのが、「特別栽培農産物」という表示です。
特別栽培農産物の表示基準
- 農薬の使用回数を地域の慣行栽培の50%以下に抑える。
- 化学肥料の窒素成分量を地域慣行の50%以下に抑える。
※ 慣行栽培とは、法律で決められた化学農薬、化学肥料を基準に沿って使う栽培方法です。
例:特別栽培農産物の表示方法
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「有機栽培」とは?
「有機栽培」は、「オーガニック」とほぼ同義なので、言い換えることもできますね。
有機JAS認定を取得した農産物を「有機栽培」ということができます。
- 共通点
「化学肥料や合成農薬を使用しない」
「遺伝子組み換え技術を使わない」 - 違い
「無農薬」と誤解されやすいが、有機認定された農薬(天然由来)は使用可能。
オーガニック=無農薬ではない理由
有機JASの基準では、農薬そのものを完全に排除する必要はありません。
ただし、使用が許されているのは天然原料由来の農薬や微生物を活用した製品です。
一方、「無農薬」とは、農薬を一切使用しない農法を指しますが、この表記は現在使用されていません。
「特別栽培農産物」の重要性
農薬や化学肥料の使用を抑えるのが目的の「特別栽培農産物」は、消費者が「無農薬」や「減農薬」の実態を把握するために必要な表示です。
表示内容は以下の通りです。
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これにより、消費者は実際の農薬使用状況を把握できます。
正しい選択のための知識
「オーガニック」「有機栽培」「特別栽培農産物」といった用語は、それぞれの基準や特徴が異なります。
言葉の定義を理解することで、安心して選べるようになりますね。
単に「健康に良さそう」や「体に優しい」といった漠然としたイメージだけではなく、農法や生産者の取り組みに目を向けることが大切です。
まとめ
- オーガニック:有機JAS認定を受けた農産物。天然由来の農薬は使用可能。
- 無農薬野菜:現在は「特別栽培農産物」に名称統一。完全無農薬は稀。
- 有機栽培:オーガニックとほぼ同義。有機JAS基準に従う栽培方法。
これらの違いを理解すれば、自分や家族にとって健康的な食生活が送れるでしょう。
消費者としての知識を深めることで、本当に安心できる食品を手に入れられるようになります。
お買い物の際は、ぜひ参考にしてみてくださね。